昨日、「メイプルソープとコレクター」という映画をDVDで見ました。
夕方から雨が降り、久しぶりにゆっくり家で映画でも見ようかな・・と。色々物色していると、ドキュメンタリー映画のなかにこの作品を発見!自分が高校生のころに好きだったメイプルソープの名前を見つけて即決です。
メイプルソープの写真を初めて見たのは、たしか美術手帖の特集か何かだったと思います。巻頭ページにチューリップの作品があったのですが、メイプルソープという作家を知らなかったので、てっきり壁画か絵画だと思って「すごくきれいだな」と思ったんです。ページを進めていくと、それが写真作品だと知り、とてもビックリしたのを覚えています。その後、メイプルソープの作品や資料を色々調べたりしました。性的に過激な作品もありますが、私は、花の作品や交流のある人を撮ったポートレートが好きです。ホワイトとブラック、グレーのカラーバランスが完璧。構図的にも単にかっこいいだけでない、完璧さがあると思います。
そんなメイプルソープを育てたといっても過言ではない、サム・ワグスタッフというキュレーターでありコレクターを中心にまとめられているのが、「メイプルソープとコレクター」という映画だったんです。簡単にいうと、サム・ワグスタッフという人物を、当時交流のあった人々のインタビューを交えて追っていき、メイプルソープとの関わりを語ってもらっているんです。メイプルソープよりワグスタッフに焦点をあてています。
当時写真作品は芸術性が認められていませんでしたが、独自の感性で写真を集め続け、ポラロイドしか撮ったことがないようなメイプルソープに見せては、メイプルソープの感性や才能を引き出していったそうです。莫大な資産を持つワグスタッフでしたが、その多くをメイプルソープのために使いました。恋愛関係もあったようですが、それだけではなく、キュレーターとアーティストという関係もあり、非常に強いつながりがあったんですね。当時を知る人のインタビューには、メイプルソープがワグスタッフをお金としか見ていなかったと言っていたりしましたけど、本当のところは、本人同士にしかわからないことですし、本人同士ですらわからないこともあるのではないかと思います。当時の同性愛を取り巻く環境や、ドラッグの蔓延、自身の育ってきた環境など、想像の域に留まりますが。。
わかることは、とてつもなく情熱をもっていたということです。自分の感性に自信を持ち、キュレーターとして、コレクターとして生きていたんじゃないでしょうか。
映画のなかに、「今のキュレーターには、彼のような人間はいない。キュレーターは芸術家と同等の感性を持っていなければならない。そうでなければ、新しい芸術を見つけることはできない」とコメントした人がいました。新しい芸術を見逃さず、写真の芸術的評価を一気に押し上げたワグスタッフ。確かに、自分の感性に忠実で、新たな価値を提示してきたことは、作家ではないものの芸術家と同等だったといえるかもしれません。
洋書
古書
ロバート・メイプルソープ写真集 雌蘂
MAPPLETHORPE; PISTILS
Jonathan Cape
MAPPLETHORPE
1996
173 with over 150 col. and monochro. plates
32cm x 30.5cm
Cloth with dustcover, slipcase
英語
\7,140
古書のため
函多少のいたみあり